第6話
中古パソコン屋の長い打ち合わせ資料、AIに要点をまとめてもらってみた
打ち合わせの資料やマニュアルなどの長い資料を、ChatGPTなどの対話型AIで要約する頼み方とコツを、コピーして使えるプロンプトつきで紹介します。
中古パソコン屋の打ち合わせ資料、読んでも要点がつかめませんでした
前回は、その日のやることをAIに並べてもらい、午前・午後の段取りを組んでもらいました。4コマでは、PCラッコが打ち合わせの予定を書き忘れて青ざめていましたが、実は打ち合わせには、もうひとつ悩みのタネがあります。事前に配られる「資料」です。第0話で洗い出した9つの困りごとのうち、6つ目に選んだのは「長い資料・マニュアルの要約」です。
中古パソコンの仕事でも、読む資料は意外と多い
中古パソコンの通販ショップというと、パソコンを仕入れて、点検して、出荷する仕事を思い浮かべる方が多いと思います。実際には、それと同じくらい「読む」仕事もあります。セールや販促の企画書、数字をまとめた報告資料、社内のルールの変更のお知らせ。打ち合わせの前には、こうした資料が何枚も届きます。
困っていたのは、資料をひと通り読んでも「結局、どこが大事なのか」がつかめないことでした。スライドが20枚近くあると、背景の説明や細かい数字の表が続き、読み終わるころには最初のほうの内容を忘れています。打ち合わせで「この件、どう思う?」と聞かれて、資料のどこに書いてあったかを探しているうちに話が進んでしまう。そんなこともありました。
読む時間がないわけではありません。困っていたのは、読んだ内容を「自分は何を決めればいいのか」「何を確かめればいいのか」という形に整理する部分でした。
AIに資料を渡して、「自分にとっての要点」をまとめてもらう
そこで、資料の整理をAIに手伝ってもらうことにしました。やり方は、資料の文章をそのままAIに貼りつけて(ファイルを読み込めるAIなら、ファイルごと渡して)、要約を頼むだけです。ただし、「要約して」とだけ頼むのではなく、何のために読むのかを一緒に伝えます。たとえば、次のように頼みました。
「中古パソコンの通販ショップで働いています。明日、年末のセールに向けた販促の打ち合わせがあり、事前に下の資料が配られました。この打ち合わせで私が決めること・確認すべきことが分かるように、次の形でまとめてください。
・資料の要点を3つ、箇条書きで(それぞれ2行以内)
・打ち合わせで決める必要があること
・資料に出てくる、日付と数字の一覧
・読んだ人が質問しそうな点
(ここに資料の文章を貼りつける)」
返ってきたまとめは、「セールの期間と対象商品の案」「告知に使う媒体の分担」「去年の同じ時期との比較」という3つの要点に整理されていました。決める必要があることとして「対象商品をどこまで広げるか」が挙がり、「告知を始める日が資料の中で2通り書かれている」という指摘までついていました。自分で読んでいたときには気づかなかった食い違いです。
20枚の資料が、数十秒で1画面に収まる「地図」になります。あとは、その地図を見ながら、気になったところだけ元の資料を読み返せば十分でした。
やってみて感じた、資料をAIに要約してもらうときのコツは3つです。
- 「何のために読むのか」(決めること・聞かれそうなこと)を伝える
- 要点の数や長さ、箇条書きなど、まとめる形を指定する
- 日付や数字は、元の資料と見比べて確かめる
特に1つ目が大事です。同じ資料でも、打ち合わせで決める側なのか、話を聞いておく側なのかで、押さえるべきところは変わります。目的を伝えないと、AIは資料全体を平均的に縮めたような要約を返してきます。2つ目は、形を決めておくと読みやすくなる一方で、短くしすぎると大事な情報まで削られてしまうので、「要点3つ・それぞれ2行以内」くらいがちょうどよいと感じました。3つ目は、AIが数字を写し間違えたり、資料にない内容を補ってしまったりすることがあるためです。
資料の中に分からない言葉があったときも、「この資料に出てくる〇〇という言葉を、初めての人にも分かるように説明して」と頼めば教えてくれます。パソコンの用語であれば、当店のパソコン基礎用語集でも、CPUやメモリ、ストレージといった基本の言葉を紹介しています。
なお、社外に出せない情報が含まれる資料をAIに渡すときは、社内のルールに沿って、使ってよいAIの範囲や伏せるべき情報を確かめてから使うようにしています。
要点が先に分かるようになって、打ち合わせで話についていけるようになった
この方法にしてから、打ち合わせの前に「今日はこれとこれを決める」と分かった状態で参加できるようになりました。資料のどこに何が書いてあるかが頭に入っているので、話の途中で資料をめくって探す時間も減りました。AIが挙げた「質問しそうな点」を、そのまま自分の質問として持っていくこともあります。
一方で、AIの要約だけを読んで、元の資料を一度も開かないのは危うい、とも感じています。資料を作った人が本当に伝えたかったことは、細かい注意書きの中にあることもあります。AIの要約はあくまで入口で、大事なところは自分の目で確かめる。この使い方に落ち着きました。
……と、ここまではうまくいったのですが、「要約は短ければ短いほど優秀なはず」と思い込んだ仲間が、社内に一匹いたようです。
「一番短い要約が一番すごい」と思い込んだPCラッコ
PCラッコも、明日の打ち合わせの資料をAIに要約してもらうことにしました。3行の要約が返ってくると「まだ長い、もっと短く!」。1行になっても「もっと!」。どうやらPCラッコは、短い要約ほど優秀だと思い込んでいるようです。
結果は、上の4コマの通りです。AIは頼まれた通りに、資料をどんどん短くしてくれていました。ただ、短くするたびに削られていったのは、打ち合わせで本当に必要だった「何を決めるのか」という部分でした。要約は、短ければよいわけではありません。何のために読むのかを伝え、必要な情報が残る長さで形を指定する。コツの1つ目と2つ目を、身をもって確かめた一件でした。
コピーして使える、資料の要約のプロンプト(頼み方)
今回AIに渡した頼み方の文面(プロンプト)を、ほかの資料でも使える形にまとめました。ChatGPTやGeminiなどの対話型AIに、〇〇の部分を書きかえて貼り付けてください。
プロンプト(AIへの頼み方の文面)
〇〇(いつ・何の打ち合わせや作業)のために、下の資料を読みます。
〇〇(自分の立場。例:打ち合わせで決める側)として、決めること・確認すべきことが分かるように、次の形でまとめてください。
・資料の要点を3つ、箇条書きで(それぞれ2行以内)
・決める必要があること
・資料に出てくる、日付と数字の一覧
・読んだ人が質問しそうな点
(ここに資料の文章を貼り付け)
「何のために読むのか」を伝え、短くしすぎない形を指定するのがコツです。日付や数字は元の資料と見比べて確かめてください。社外に出せない情報が含まれる資料は、社内のルールで使ってよいAIの範囲を確かめてから渡しましょう。
この記事(と4コマ)自体、実はAIを徹底活用して作っています
種明かしをしておくと、この連載記事と4コマ漫画は、企画・ネタ集め・執筆から4コマのキャラクター画像の加工まで、AI活用を検証しながら制作しています。しかもこの企画自体、実際にPC WRAPで販売している中古パソコンの実機を使って進めています。つまり「中古パソコンでどこまでAI活用を突き詰められるか」を、この連載そのものが実証しているわけです。
使用PCのスペック
- CPU:Core i5(第8世代)
- メモリ:8GB
- グラフィック:Intel Graphics(オンボード)
「中古パソコンでもAIって使えるの?」という疑問について
「AIを使うなら高性能な新品パソコンが必要では?」と思う方も多いかもしれません。ですが、ChatGPTやGeminiのような生成AIツールの多くはインターネット上(クラウド)で処理される仕組みのため、パソコン本体の性能への依存は大きくありません。ブラウザが動き、通信環境が安定していれば、中古パソコンでも問題なく使えるケースがほとんどです。詳しくはPC WRAPの初心者向けガイドでも紹介しています。
実際にどこまで動くのかは、PC WRAPの店長とPCラッコが動画で検証しました。メモリ8GBの中古パソコン(この連載のPCとは別の、Core i5 第10世代の機種)で、ブラウザ・YouTube・Word・Excel・Teamsに加えて、Copilot・ChatGPT・Geminiを全部同時に開いても、普通に動きました。パソコンの中でAIを動かしたい場合(Ollamaなど)は、16GBのモデルがおすすめという結果です。
次回予告
次回も、9つの困りごとのうち別の1つに取り組みます。9つのうち6つまで来ましたが、社内の困りごとはまだ残っています。
資料をAIでまとめられるようになると、打ち合わせや外出先でも、ノートパソコンを開いてさっと要点を確認したくなります。持ち運びやすい一台を探している方は、PC WRAPのB5・モバイルノートパソコンの一覧ものぞいてみてください。
それでは、また次回の「中古パソコンショップが本気でAI活用に取り組んでみた」でお会いしましょう。
シリーズ内ナビゲーション