第1話
角が立たない断りメール、AIに考えてもらった
第0話で洗い出した9つの困りごと、まず1つ目から
前回、社内の「地味に時間を取られている作業」を9つ棚卸ししました。記念すべき1つ目の検証は、「メール・文章の言い回し」です。中でも特に頭を悩ませるのが、お客様に何かをお断りする場面。今回は実際にあったやり取り(内容は一部変えています)をもとに、AIにどう手伝ってもらったかを紹介します。
お題:買取査定額の増額をお願いされたら
中古パソコンの買取サービスでは、査定額をご案内したあとに「もう少し上げてもらえませんか」というご相談をいただくことが、実はそこそこあります。市場相場や機種の状態から算出した金額のため大幅な増額には応じられないのですが、せっかくお問い合わせいただいたお客様に、そっけない印象は与えたくありません。
以前は、この「失礼のない言い回し」を考えるのに地味に時間がかかっていました。「申し訳ございませんが」と書いては、いや堅すぎるかと書き直し、結局15分近く悩んで数行のメールを送る、ということもざらでした。
AIへの頼み方を工夫してみる
今回、生成AIに次のような依頼をしてみました。
「中古パソコンの買取査定額について、増額してほしいというお客様への返信メールを考えてください。今回は査定基準に沿って算出した金額のため増額はできません。ただし査定の根拠(相場・状態)は簡単に説明し、次回もご利用いただきやすいよう一言添えてください。文字数は200字程度、丁寧すぎずやわらかいトーンでお願いします。」
最初に返ってきた文章は、事実としては正しいものの、少し他人行儀な印象がありました。イメージとしては、「規定に基づき算出しており、増額の対応は致しかねます」のような、間違ってはいないけれど少し冷たい言い回しです。
そこで「もう少し、担当者が実際に書いたような温かみを出してください」と追加で頼んでみたところ、二回目の下書きは「今回ご提示した金額は、同機種の直近相場と本体の状態を踏まえて算出したものでして、心苦しいのですが増額は難しい状況です。もし他に気になる商品がございましたら、査定額の目安だけでもお気軽にお問い合わせください」といった、事情の説明と次への一言がセットになった、かなり自然な文章になりました。同じ内容でも、言葉の選び方ひとつでずいぶん印象が変わるものだと実感しました。
工夫のポイントは3つあるように感じます。
- 断る理由を、事務的になりすぎない程度に簡潔に伝えるよう指定する
- 「文字数」「トーン(丁寧すぎない/カジュアルすぎない)」を具体的に指定する
- 一度で満足せず、「もう少し○○にしてください」と追加で調整を依頼する
特に3つ目が重要で、最初の一発で完璧な文章を求めるより、2〜3回のやり取りで整えていくほうが、結果的に早く、かつ自然な仕上がりになりました。作成時間は、以前の「1人で15分悩む」から、「AIとのやり取り込みで5分程度」に短縮できています。
今回は買取査定額のご相談を例にしましたが、この頼み方は他の「お断り」場面にも応用できそうです。例えば「在庫切れ商品の入荷時期を聞かれたが確約できない」「保証の対象外だと伝えなければならない」といった場面でも、断る理由・代替案・トーンを具体的に指定して依頼すれば、同じように角の立たない文面の下書きが作れそうだと感じました。次に似た場面が来たら、また試してみようと思います。
AIの活用そのものがまだ手探りという方は、PC WRAPの初心者向けガイドでも中古パソコンとAIの相性について紹介していますので、あわせてご覧ください。
もちろん、AIが作った文章をそのまま送るのではなく、金額や機種名などの固有情報は必ず人の目で確認してから送信する、というのが大前提です。……と偉そうに書いていますが、実はこの「確認」を怠って一悶着あったのが、次にご紹介するオチです。
そのまま送信しようとしたPCラッコに起きたこと
得意げに「これで完璧」と送信ボタンに手をかけたPCラッコ、AIが用意してくれた文章をよく見ないまま、そのまま送ろうとしていました。
結果は、上の4コマの通りです。AIの下書きに入っていた「〇〇様」というプレースホルダーを、実際のお名前に置き換えないまま送信しかけてしまうところでした(危ないところで気づいて事なきを得ています)。便利な機能ほど、最後のひと手間だけは人の目で、という教訓を得た一件でした。
この記事(と4コマ)自体、実はAIを徹底活用して作っています
種明かしをしておくと、この連載記事と4コマ漫画は、企画・ネタ集め・執筆から4コマのキャラクター画像の加工まで、AI活用を検証しながら制作しています。しかもこの企画自体、実際にPC WRAPで販売している中古パソコンの実機を使って進めています。つまり「中古パソコンでどこまでAI活用を突き詰められるか」を、この連載そのものが実証しているわけです。
使用PCのスペック
- CPU:Core i5(第8世代)
- メモリ:8GB
- グラフィック:Intel Graphics(オンボード)
「中古パソコンでもAIって使えるの?」という疑問について
「AIを使うなら高性能な新品パソコンが必要では?」と思う方も多いかもしれません。ですが、ChatGPTやGeminiのような生成AIツールの多くはインターネット上(クラウド)で処理される仕組みのため、パソコン本体の性能への依存は大きくありません。ブラウザが動き、通信環境が安定していれば、中古パソコンでも問題なく使えるケースがほとんどです。詳しくはPC WRAPの初心者向けガイドでも紹介しています。
次回予告
次回は、9つの困りごとのうち別の1つに取り組む予定です。AIに頼れば頼るほど、思わぬところで足元をすくわれることもあると分かった今回。まだまだ課題は残っています。
今の買取査定額が気になる方は、PC WRAPのパソコン買取りサービスから気軽にチェックしてみてください。
それでは、また次回の「中古パソコンショップが本気でAI活用に取り組んでみた」でお会いしましょう。
シリーズ内ナビゲーション