第5話
中古パソコン屋の「今日のやること」、AIに段取りを組んでもらってみた
その日のやることの優先順位と段取りを、ChatGPTなどの対話型AIで整理する方法を、コピーして使えるプロンプトつきで紹介します。
中古パソコン屋の1日、何から手をつけるかで迷っていました
前回は、セール告知バナーのキャッチコピーや配色の案を、AIに出してもらいました。1話から4話まではメール、エラーメッセージ、問い合わせの返信、バナー画像と、何かを「作る」作業が続きました。第0話で洗い出した9つの困りごとのうち、5つ目に選んだのは「予定・段取りの整理」です。今回は何かを作るのではなく、仕事の進め方そのものが題材です。
中古パソコンの仕事は、小さな作業が重なりやすい
中古パソコンの通販ショップでは、毎日いろいろな作業が同時に動いています。新しく入荷した商品の紹介文の確認、お客様からの問い合わせへの返信、メールマガジンやSNSの準備、社内の打ち合わせ。ひとつひとつは大きな仕事ではありませんが、数が多く、しかも日によって中身が入れ替わります。
困っていたのは、朝、その日のやることを前にして「何から手をつけるか」で迷ってしまうことでした。どれも大事に見えるので、順番を考えているうちに時間がたってしまいます。手をつけやすいものから片づけていたら、急ぎの作業が後回しになっていて、夕方にあわてる。そんな日もありました。
作業そのものに時間がかかっているわけではありません。迷っていたのは、その手前の「どの順番でやるか」を決める部分でした。
AIに「今日のやること」を渡して、順番を考えてもらう
そこで、段取りを考える部分をAIに手伝ってもらうことにしました。やり方は簡単で、その日のやることを箇条書きで書き出し、そのままAIに渡すだけです。たとえば、ある日の作業なら次のように頼みました。
「中古パソコンの通販ショップで働いています。今日やることを書き出したので、優先順位をつけて、午前と午後の段取りを提案してください。
・新しく入荷した商品の紹介文の確認(10件ほど。1件5分くらい)
・昨日届いた問い合わせへの返信(3件)
・明日の朝に配信するメールマガジンの原稿(1時間くらい)
・15時からの打ち合わせの資料確認(30分くらい)
・SNSの投稿準備(今日中でなくてもよい)」
返ってきた段取りは、「お客様を待たせないよう、問い合わせの返信を最初に」「まとまった時間が必要なメールマガジンの原稿は午前中に」「打ち合わせの資料は、始まる前の14時台に確認」「急ぎでないSNSの準備は、空いた時間に」というものでした。順番だけでなく、なぜその順番なのかという理由もセットで出してくれるので、納得して取りかかれます。
自分で考えていたときは、頭の中であれこれ並べ替えているうちに時間がたっていました。書き出してAIに渡すと、数十秒で「たたき台」が手元に届きます。あとは、それを見ながら「これは午前に回そう」と少し手を加えるだけです。
やってみて感じた、段取りをAIに考えてもらうときのコツは3つです。
- 締め切りや時間が決まっている予定は、時刻まで書いて渡す
- 作業ごとの、だいたいの所要時間を添える
- 出てきた段取りはそのまま信じず、最後に自分で見直す
1つ目と3つ目は特に大事です。AIは、こちらが書いたことしか知りません。「今日中に終わらせないと困るもの」や「この時間は手が離せない」といった事情は、書かない限り段取りに反映されません。また、途中で急な問い合わせが入れば、予定は変わります。そのときは「急ぎの対応が1件入ったので、午後の段取りを組み直して」と頼めば、残りの作業で組み直してくれます。
ちなみに当店では、中古パソコンがお客様のもとに届くまでにも、仕入れから検品、データ消去、クリーニング、梱包・出荷まで、たくさんの工程を順番に進めています。その流れは商品がお客様の元に届くまでのページで紹介しています。
段取りをAIと決めるようになって、朝の迷いが減った
この方法にしてから、朝の「何から手をつけよう」と迷う時間が短くなりました。書き出すだけで、頭の中にあったやることが目に見える形になるのも、思った以上に効果がありました。AIに渡す前の段階で、「これは今日でなくてもいいな」と気づくこともあります。
一方で、AIの段取りをそのまま使えばよい、というわけでもありません。お客様の急ぎ具合や、社内の誰の手が空いているかといった事情は、AIには分かりません。AIの段取りはあくまでたたき台で、最後にどうするかを決めるのは人です。
……と、ここまではうまくいったのですが、AIが組んだ段取りを信じきって、大事な予定を伝え忘れた仲間が、社内に一匹いたようです。
「AIの言う通りにやれば完璧」と油断したPCラッコ
PCラッコも、今日のやることをAIに並べてもらいました。理由つきのきれいな段取りに大満足で、「この通りにやれば完璧!」と、上から順番に作業を片づけていきます。ところが、リストを書き出すときに、ある予定を書き忘れていたのです。
結果は、上の4コマの通りです。AIは、渡された情報の中では筋の通った段取りを考えてくれていました。抜けていたのは「15時から打ち合わせ」という、たった1行。段取りをAIに任せるなら、時間の決まった予定は最初に書いて渡し、出てきた順番も最後に自分の目で確かめる。コツの1つ目と3つ目を、身をもって確かめた一件でした。
コピーして使える、段取りのプロンプト(頼み方)
今回AIに渡した頼み方の文面(プロンプト)を、どんな仕事でも使える形にまとめました。ChatGPTやGeminiなどの対話型AIに、〇〇の部分を書きかえて貼り付けてください。
プロンプト(AIへの頼み方の文面)
今日やることを書き出したので、優先順位をつけて、午前と午後の段取りを提案してください。順番の理由も教えてください。
・〇〇(時刻が決まっている予定は時刻も。例:15時から打ち合わせ)
・〇〇(だいたいの所要時間。例:1時間くらい)
・〇〇(締め切り。例:今日中/今日でなくてもよい)
時刻の決まった予定は、いちばん最初に書くのがコツです。途中で急な仕事が入ったら、「急ぎの対応が1件入ったので、午後の段取りを組み直して」と頼めば、残りの作業で組み直してくれます。
この記事(と4コマ)自体、実はAIを徹底活用して作っています
種明かしをしておくと、この連載記事と4コマ漫画は、企画・ネタ集め・執筆から4コマのキャラクター画像の加工まで、AI活用を検証しながら制作しています。しかもこの企画自体、実際にPC WRAPで販売している中古パソコンの実機を使って進めています。つまり「中古パソコンでどこまでAI活用を突き詰められるか」を、この連載そのものが実証しているわけです。
使用PCのスペック
- CPU:Core i5(第8世代)
- メモリ:8GB
- グラフィック:Intel Graphics(オンボード)
「中古パソコンでもAIって使えるの?」という疑問について
「AIを使うなら高性能な新品パソコンが必要では?」と思う方も多いかもしれません。ですが、ChatGPTやGeminiのような生成AIツールの多くはインターネット上(クラウド)で処理される仕組みのため、パソコン本体の性能への依存は大きくありません。ブラウザが動き、通信環境が安定していれば、中古パソコンでも問題なく使えるケースがほとんどです。詳しくはPC WRAPの初心者向けガイドでも紹介しています。
実際にどこまで動くのかは、PC WRAPの店長とPCラッコが動画で検証しました。メモリ8GBの中古パソコン(この連載のPCとは別の、Core i5 第10世代の機種)で、ブラウザ・YouTube・Word・Excel・Teamsに加えて、Copilot・ChatGPT・Geminiを全部同時に開いても、普通に動きました。パソコンの中でAIを動かしたい場合(Ollamaなど)は、16GBのモデルがおすすめという結果です。
次回予告
次回も、9つの困りごとのうち別の1つに取り組みます。9つのうち5つまで来ましたが、社内の困りごとはまだ残っています。
仕事の段取りが整ってくると、今度は「パソコンの動きが遅くて作業が進まない」といった、道具の側の悩みが気になってくるかもしれません。今の作業に合った一台を探したい方は、PC WRAPのパソコン診断ツールで、ご自身に合った中古パソコンを探してみてください。
それでは、また次回の「中古パソコンショップが本気でAI活用に取り組んでみた」でお会いしましょう。
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