第3話
中古パソコンのよくある問い合わせ、AIで回答のひな形を作ってみた
中古パソコンの問い合わせ対応、毎回ゼロから書いていました
前回は、作業中に出た謎のエラーメッセージの意味をAIに聞いてみました。第0話で洗い出した9つの困りごとのうち、3つ目に選んだのは「問い合わせ対応」です。1話・2話はどんな職場にもある困りごとでしたが、今回は中古パソコン屋ならではの業務。お客様からいただく問い合わせへの返信を、AIでどこまでラクにできるかを試してみました。
中古パソコン屋に届く「よくある問い合わせ」
中古パソコンは一台ごとに状態やスペックが異なるため、ご購入前にいろいろなご質問をいただきます。内容を振り返ってみると、実は似た質問が多いことに気づきました。
- 「メモリ8GBとSSD256GBで、どのくらいのことができますか?」といったスペックの見方
- 「送料はいくらかかりますか?」「いつ届きますか?」といった送料・発送
- 「保証は付いていますか?」といった保証の条件
どれも大切なご質問ですが、これまでは担当者がその都度ゼロから文章を書いていました。似た説明を何度も書くので時間がかかるうえ、書く人によって説明の詳しさや言い回しがばらつくのも悩みでした。
AIに「当店のルール」を渡して、回答のひな形を作る
そこで、よくある質問ごとに「回答のひな形」をAIに作ってもらうことにしました。ポイントは、当店の送料や保証のルールを、こちらからAIに渡すことです。たとえば送料の質問なら、次のように頼みました。
「中古パソコンの通販ショップで、お客様から『送料はいくらですか?』という問い合わせをいただいたときの返信のひな形を作ってください。当店の送料のルールは以下の通りです(当店の送料ページの文章を貼り付け)。お客様のお名前など個別に変わる部分は【 】で空けておき、丁寧すぎず、読みやすい文章にしてください。」
返ってきたひな形は、送料は全国一律であること、10,000円以上のご購入で送料無料になることが、要点から順に整理されていました。【お客様名】【商品名】のように差し込む箇所も空けてあり、あとは担当者が埋めて一言添えるだけで送れる形です。同じやり方で、保証やスペックの見方についてもひな形を作りました。スペックの見方では「メモリはパソコンの作業机の広さのようなもの」といった、パソコンに詳しくない方にも伝わるたとえを提案してくれたのが助かりました。
やってみて感じた、問い合わせのひな形をAIに作ってもらうときのコツは3つです。
- 送料・保証などの当店のルールは、必ずこちらからAIに渡す
- お客様のお名前や注文番号はAIに入れず、差し込む箇所は【 】で空けてもらう
- できたひな形は、公式のページと照らし合わせて人が確認してから使う
特に1つ目が重要です。AIは一般的な知識はたくさん持っていますが、当店の送料や保証の条件までは知りません。ルールを渡さずに聞くと、もっともらしい一般論が返ってきてしまいます。
なお、当店の送料・お支払い方法・保証の詳しい内容は、PC WRAPの「送料・お支払い方法|保証規約」のページにまとめています。
ひな形はAIに任せきりにしない
便利な一方で、気をつけている点もあります。まず、ひな形はあくまで出発点だということです。お客様のご質問には、それぞれの事情や前提があります。ひな形をそのまま貼り付けるのではなく、ご質問の内容に合わせて一言添えるようにしています。
また、送料や保証の条件が変わったときは、ひな形も忘れずに直す必要があります。古いひな形を使い続けると、誤った案内をしてしまうおそれがあるためです。ひな形をまとめた一覧に「最後に確認した日」を書いておくと、見直しのタイミングが分かりやすくなりました。
こうした点に気をつければ、問い合わせ対応は「毎回ゼロから書く作業」から「ひな形を選んで一言添える作業」に変わり、返信までの時間も、説明のばらつきも減りました。……と、ここまではうまくいったのですが、コツの1つ目「当店のルールは必ず渡す」を飛ばしてしまった仲間が、社内に一匹いたようです。
「AIなら何でも知ってる」と思い込んだPCラッコ
問い合わせが続いて、PCラッコも「AIに任せれば一発でしょ」と自信満々。ところが、AIに当店のルールを何も教えないまま、いきなり質問をぶつけてしまいました。
結果は、上の4コマの通りです。「うちの送料、いくらだっけ?」とだけ聞かれたAIは、当店のことを知らないので、「送料は地域によって異なります」という一般的な答えを返してきました。当店の送料は全国一律なので、このまま返信していたらお客様を混乱させてしまうところでした。AIは賢いけれど、当店のルールは教えなければ分からない。思い込みのまま頼るのではなく、必要な情報をこちらから渡すことが大切だ、という教訓を得た一件でした。
この記事(と4コマ)自体、実はAIを徹底活用して作っています
種明かしをしておくと、この連載記事と4コマ漫画は、企画・ネタ集め・執筆から4コマのキャラクター画像の加工まで、AI活用を検証しながら制作しています。しかもこの企画自体、実際にPC WRAPで販売している中古パソコンの実機を使って進めています。つまり「中古パソコンでどこまでAI活用を突き詰められるか」を、この連載そのものが実証しているわけです。
使用PCのスペック
- CPU:Core i5(第8世代)
- メモリ:8GB
- グラフィック:Intel Graphics(オンボード)
「中古パソコンでもAIって使えるの?」という疑問について
「AIを使うなら高性能な新品パソコンが必要では?」と思う方も多いかもしれません。ですが、ChatGPTやGeminiのような生成AIツールの多くはインターネット上(クラウド)で処理される仕組みのため、パソコン本体の性能への依存は大きくありません。ブラウザが動き、通信環境が安定していれば、中古パソコンでも問題なく使えるケースがほとんどです。詳しくはPC WRAPの初心者向けガイドでも紹介しています。
次回予告
次回も、9つの困りごとのうち別の1つに取り組みます。ここまでは文章まわりの困りごとが続きましたが、文章以外の作業でもAIは頼りになるのか。まだまだ課題は残っています。
「スペックの見方がよく分からない」「自分にはどのくらいの性能が必要?」と迷っている方は、PC WRAPのパソコン診断ツールで、ご自身に合った中古パソコンを探してみてください。
それでは、また次回の「中古パソコンショップが本気でAI活用に取り組んでみた」でお会いしましょう。
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